中学生のチューに興奮した話。
バイト先の塾にて。
男の子二人組が何やらにやにやしながら近づいてくる。
「せんせー、こいつ彼女できたんすよ〜。超うらやましくないっすか〜???」
「おー!すごいじゃん!よかったねー」
「しかも、今週チューしちゃったらしいんすよ〜。やばくないっすか〜???」
チュ、
チュ、
チュー!!!
理性を失いそうになるが、変態教師のレッテルを貼られ大事なバイト先をクビになったら大変だ。
とっさに、
「お、大人の階段のーぼるー♬だね!」
という可もなく不可もなく、少し古めなリアクションを取ってしまう。
気の利いた返事なんて出来るはずがない。
だって、
初めてのチュウ。
君とチュウ。
(古い?)
大学生になってから、付き合ったらキスをするなんて普通のこと過ぎて、いちいち誰も報告してこない。
もう何年振りの初チュー申告?
ドキがムネムネとはこのこと。
思わず、自分のファーストキッスのことを振り返ってしまった。
あれは中学生の時…
栃木からどんぶらこどんぶらこと鈍行に乗り、初めて池袋でデートをした時だった。
お互いキスしようと思っているのは気づいているのに、どこでそれを切り出せばいいのかわからない。
そのまま小一時間どころか小五時間くらい池袋の街を散歩して、謎のマンション街に入ってしまったところで目が合って、キスした。
全然知らん人ん家の前だった。
田中さんだったか佐藤さんだったか、勝手に家の前を思い出の地にして申し訳ありません。
考えてみると、大人になるほど、チューでドキドキすることなんて段々無くなっていきますよね。
どんどんドキドキのハードルが上がって、次第に心が厚いベールに包まれてしまう感覚。
もう、一生忘れられないようなキスをすることなんてないのかな、とちょっと寂しくなったばんぎゃるちゃんなのでした。
大人の階段は、振り返ったら辛いだけ。
それでも、振り返ってしまうのが人間の性でしょうか。
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