ばんぎゃる医学生ちゃん!

全身全霊でクソの役にも立たない記事書いてます!!!

容れ物携え宇宙旅行して

容れ物だけになりたい。それも、たくさん穴のあいた容れ物。そうしたら風通しがよくなって、倒れずに済むような気がするのに。軽くてどこへでも持ち運び易くて、それでも倒れないのに。

 

詰まるところ現状のわたしは、中身ぎっしりなのだ。内臓脂肪とか皮下脂肪とか、寂しさとか期待とか、やることなすこととかで。しかも、挙げ句の果てには便秘だし。

昨日、試しにそういう要らない中身をぜんぶぜんぶ一気に小学校の焼却炉に突っ込んで燃やしてみたら、煙突からのけむりは意外とキラキラしていた。そのままやつらは天まで昇って星になった。すげえ。一方わたしはというと、自らの脂肪や排泄物が光栄なことに銀河の一部になったのに、それでも宇宙に行けなかった。燃やしてる最中に食べたビスコが重くて飛べなかったのだ。残念だ。

 

あんなに苦労して捨てたのに、今朝目覚めたら、もう体には元のように色んなものがぎっしり詰まっていた。これじゃ宇宙に行けないよと、藻搔いて苦しんで、そういう焦りがまた重力になって、わたしを地球の表面にへばりつかせた。残念だ。

 

せめて夢のなかだけでも飛びたい、そんなときに使えるのは、意外にもフランキンセンスの入浴剤。自宅のお風呂で楽しめるお手軽トリップで視界は煌めき、ついに容れ物だけになった身軽なわたしは、やっぱり簡単に宇宙に行けた。手始めに行った火星の空は真っ赤。夕焼け、青くなってく世界に照らされて、地球と真逆じゃんね、なんて笑って、見つめあって、キスしたのは名前も知らない人だった。どこから来たの、と聞いたら月出身だなんて、もう会えないじゃないか。なんてったって、月からのお迎えに逆らえないのは地球でも有名な話なのに。ああ、使者が来る前にかぐや王子とあれやこれやと滅茶苦茶に…なんてもたもたしているうちに香りが切れて、あっという間にトリップは終了です。いいところだったのに。

 

さて、きっと明日も容れ物だけになれないわたしが、飛べずに墜落するのはまた病院なので、ついでに実習でもしてくるはずです。毎日えらい。