二足歩行の練習を。
7時。いつものアラームが鳴った。
この時間はマキシマムザホルモンの「What's up, people?!」。
めっちゃうるせえんだ、これが。
さすがに近所迷惑だ。
のろのろベッドから出る。
最近、ベッドから立ち上がるときに違和感を感じるようになった。
あれ、二本の足で立つのはどんなんだったけ、が思い出せなくなった。
どうしても思い出せないときは、またベッドにかえっていく。こうしている方が自然な気がしてしまう。
ひとりで二本の足で立てるようになった日、パパとママはきっと喜んだだろう。
ひとりでこのアパートに引っ越してきた日、パパとママはすごく泣いたらしい。
でも、まるっきり正反対などちらのリアクションだって、それは2人の私へのおっきな愛情が源なのであって、結局全部いっしょくたにしちゃっていいのだ。
そんなラブい2人に見守られて育った私は、なんだか最近二足歩行を諦めるくらいには赤ちゃん返り気味の絶賛退行中で、この親不孝者がって感じだ。
一体全体どうしちゃったんだろう。
その答えはたぶん失恋にあり。
たかが失恋、されど失恋。
立てなくなるくらい深刻な大打撃をくらいながら、ひとつ気がついたことがあった。
私にとって恋は「新たなママ探し」なのだ。
大好きなママがいないこの孤独な新天地で、私は代理ママを探していた。
生まれた瞬間から無条件の愛を捧げてくれる存在を。どんなに我が儘言いたい放題しても、見放さない存在を。
でも、どんなに好きでも恋人はママと違う。
なんてったって性別からして違う。
そんなことに気がつくまでに21年もかかってしまったのだ、おそろしい子。
そろそろ、自分の足で立たなければいけないみたいだ。
もしも、また恋人ができたとき、今度は寄りかかって倒しちゃわないように、いっしょにランニングくらいできるように、まずはベッドから立ち上がらなきゃ。
というブログをベッドで書いているうちに寝落ちして朝という定番コースから成り立つ私の人生やいかに。
外さないコンタクトレンズ。
減りゆく角膜内皮細胞。
眼にやさしくなりたい。